
ブラック企業の方程式(輝井永澄) - カクヨム
安全対策なんかしてたら会社が潰れるんだよ!
宇宙船の航行においては、燃料や酸素の積載量が乗組員の命に関わるため厳しく制限されている。
民間事業者の航行においては、従業員の安全のために、ペイロードに対して充分な余裕を持った燃料や積み荷の重量制限などが厳しく定められ、違反した事業者は厳しく罰せられることになる……の、だが。
「方程式モノ」とは、クラシックSFの傑作、トム・ゴドウィンの「冷たい方程式」に端を発する一連の作品群のこと。
宇宙を航行する船は、目的地に至るまでの燃料や、乗組員の必要とする酸素まで厳密に定められており、少しでもその計算が狂えば「方程式」は崩れ去る。そんな環境の中に、密航者が現れたら――というのがその主題。
「カルネアデスの板」という哲学的命題としても語られるこのシチュエーションに対し、多くのSF作家が自分なりの解を描きました。
ただ、「宇宙船がそんなにいっぱいいっぱいな状況で運行するわけないだろ」みたいなツッコミは当時からあった模様です。
そこでこの作品は、そんなツッコミに対する解を用意しました。つまり、「ブラック企業だから法令違反の積み込みをしている」と――
本作品は、SFマガジン2020年8月号にて柿崎憲さんのコラムにもピックアップしていただきました。
宇宙の中で人が生きる冷たい方程式、そこに組み込まれた社会と経済の方程式。その導きだす解とは、一体どのようなものでしょうか――?
ブラック企業の方程式
作:輝井永澄
短篇(5,697字)
掲載サイト:カクヨム
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