「15㎝あれば、人は倒せる」――そう言った彼女の言葉は嘘じゃなかった。

ノック・アウトに必要な距離(輝井永澄) - カクヨム
「15㎝あれば、人は倒せる」――彼女の言葉は、嘘じゃなかった。

部員ひとりの弱小ボクシング部。
次の試合で負ければ、もう終わり。

だけど僕には、才能も、体格も、なにもかもがない。

そこに現れた彼女が、僕に授けたのは「15㎝」という距離――

 「ワンインチ・パンチ」は格闘モノによく出てくる技のひとつ。

 1インチ――わずか2.5cmほどの隙間しかないところで、爆発的に力を放つことで、密着状態から強力な技を放つ、「寸勁」などとしても知られる技です。

 ブルース・リーが得意としていたり、またボクシングにおいても「10cmあればKOパンチは放てる」と語られたりと、現実に存在する技でもあります。

 本作品では、その距離は「15cm」と設定されています。

 自分の弱さが嫌いで、それでもなかなか強くなれなくて――そんな少年の前に現れた謎の少女が現れ、「15cm」という距離を授ける。その距離が、少年を変えていく。

 決して魔法なんかじゃない。積み上げたものが必ず、道しるべとなる――そんなボクシング青春小説です。

ノック・アウトに必要な距離
作:輝井永澄
短篇(11,946字)
掲載サイト:カクヨム

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