
紙とペンとフィリピンの武術(梧桐 彰) - カクヨム
二次大戦後、マニラの小さな出版社にて
格闘技や武術にかなり詳しい人なら、フィリピンの伝統武術「エスクリマ」のことを見聞きしたことがあるかもしれません。しかし、その技法まで知っている人となるとそうはいないんじゃないでしょうか。
昨今は映画などでシラットなどのアジア伝統武術が取り上げられる機会も増えました。また、Youtubeなどでその技を目にすることも出来るようになりました。
ただ、その武術がどんな文化をまとい、人々がそこにどんな想いを託してきたのか、ということはそうした映像だけではわかりません。
「エスクリマ」を主題とした本作は、新聞紙やペンで戦うという技を描くだけではなく、第二次大戦後の出版社を舞台にすることで、その技がどんなコンテクストを纏い、人々がどんな想いの元にそれを受け継いできたのかを明らかにするもの。
格闘技という戦う技術は決してただの伝統芸能や文化遺産ではなく、また喧嘩の技術というだけでもない。
マイナー武術という題材を、奇を衒った飛び道具として置くのでなく、そこに込められた文化の重みテーマとしてしっかり描いたのがこの作品です。
紙とペンとフィリピンの武術
作:梧桐彰
短篇(2,795字)
掲載サイト:カクヨム
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